2010/09/12

ネーミングライツは商店街を救うのか?

木下斉さんのブログにユーグレナモールについての記述があった。
日本最南端の商店街振興組合・ユーグレナモール


商店街のネーミングライツに、注目のベンチャーが名乗りをあげるという面白いケース。
商店街がネーミングライツを販売したのは初だとのこと。
これらをヒントに少し考えてみたい。

地方では、どの商店街も廃れている。
大型ショッピングセンターとの対立やら、ドーナツ化やら、原因や対策が色々といわれている。

そもそも商店主もいない、お客もいない。
そんな場所を存続させる意味がどこにあるのか?という問いをたてることもできる。

もちろん、各商店街が努力することは必要だし、店主の生活があるので当然のことであろう。
しかし、公的資金を投入されているという事実がある。

一店舗でやっている店は支援される?
商店街だけ?大資本が支援されない?
疑問を生む政策であることは間違いない。

自助努力が求められる商店街の一つの手法がこのネーミングライツかもしれない。
ネーミングライツとは命名権のことで、
施設に対する命名権の販売は90年代後半から米で始まったとのこと。
日本では、03年3月に東京スタジアムと味の素との間で初の契約が結ばれ、
スタジアムの名称が味の素スタジアムに変わった。契約5年間で、金額12億円(総額)。
それ以外の事例はこちら。
【参考】:命名権 -wikipedia 事例


ネーミングライツの価値は、その施設名が記述されるすべてのメディアに名前が載ることである。
公的機関やイベントのチラシ、看板の表記、人々の会話にすら入りこむ。
つまり、あらゆる場所で名前を呼んでもらい、認知度を上げるのがネーミングライツというPR手法。
スポーツ施設の場合、スポンサー企業の福利厚生やテナント納入機会などのメリットがある。

ユーグレナ社の場合、石垣島で生産される微細藻類ユーグレナを利用した機能性食品やサプリメントの開発・販売が事業であるため、地域性との相性や地域貢献の要素もあったといえる。
契約は2010年3月14日から2年間。契約金額は非公表である。

石垣市企画部によると、「実情を聞くと、組合員の生活が成り立たなくなり、モール街の存在自体も危うくなると考えて同意した」とのこと。

少し整理すると、
商店街→ネーミングライツによる収益
スポンサー企業→地域における認知度の圧倒的向上
となるわけである。
お互いにメリットを享受できている。

しかし、上記にあげたように、「商店主がいない・お客がいない」のが商店街の問題である。
そこを深く考えた上で、解決策を打たねばならない。
おそらく鶏・卵の関係であり、問題は構造的な部分にありそうだ。
よく聞く話では、賃料を下げずに新規出店を拒む地主がいたりする。
まったく阿呆な話だと思うが、本当にあるので馬鹿にできない。

そこで、思いついた案としては、
1.スポーツ施設のように、商店街を施設ととらえて、テナントのコーディネートをスポンサーが行う。
2.商店街のなかにインキュベーション施設やテストマーケティング施設をつくる。
3.フリースペースを作って、通行量を増やす、商店街の滞留時間を増やす。
などがあるかなと。
ベンチャーがネーミングライツを取れるなら、2はありえるかもしれない。

ぜひ石垣島に行って、ユーグレナモールを見てまわりたいと思う。
これが“本当”に成功事例となれば、全国の商店街の名前が次々に変わっていくかもしれない。


【参考情報】
■ユーグレナモール関連
ユーグレナモール誕生記念式典(ユーグレナPR日記)
ユーグレナモール誕生 県内初の命名権譲渡
ユーグレナモール(ユーグレナPR日記)
石垣島・ユーグレナモールの日記

■その他
株式会社ユーグレナ
中小企業庁 がんばる商店街77選
中小企業庁 新・がんばる商店街77選
日本にネーミングライツを浸透させるために(PDF)

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